材料の特徴・性能について
●しっくのんの特徴は?
◆ 主成分は塩焼消石灰。 ◆ ローラー、刷毛で塗ることが出来る。 ◆ 調湿効果がある→ダニ・カビの発生を抑える。 ◆ 人体に有害なガスを発生しない(有害ガス=VOC等)。 ◆ 漆喰の効果がある。 ・抗菌 ・表面に水滴がつきにくい ・表面がおだやかに仕上がる ◆ 白色度が高い→隠ぺい力が高い ◆改修時等しっくのんを塗り重ねることにより、調湿効果が高まり、 壁紙のように剥がす手間も無く、ごみも出ない。
●比較的簡単に素人でもムラ無くぬれますか?
しっくのんは、ローラーで塗りますので、経験の無い方でも比較的簡単に塗ることができます。 上手に塗るコツは、力を入れて押し付けるような塗り方は避けて、力をあまり入れず、軽く塗り伸ばしてください。搾り出すように塗ると、塗装ムラの原因になります。また、同一面は休まず塗ってください。途切れますと、その部分が塗膜の厚さムラになります。
●ローラーはどのようなものがよいですか?
ホームセンターなどにある高粘度塗料用「中毛13mm」が比較的塗り易いです。 凹凸の大きいクロスなどの下地の場合は、中毛のローラーで塗装をすると凹部分に塗料が入り込まずに、ムラに仕上がる場合があります。「長毛20mm」で塗装をすると凹部分に塗料が入り込みます。 また、ローラーの種類によって表面が変わります。 使用後は直ぐに水で洗浄してください。乾燥しますと塗料が取れにくくなります。施工を中断する場合は、ローラーをラップで包んでおくと固まらずに済みます。
●下地の処理はどうすればいいですか?
塗装の境界部分等はマスキングテープやマスカー(ビニール付養生テープ)、新聞紙等でマスキングして下さい。木部に塗料が付着すると、木の材質によっては変色する場合があります。 塗装面の汚れ(油分・手垢・ホコリなど)は、十分に落として下さい。 塗料が接着しにくくなったり、塗膜に浮き出てくる可能性があります。下地は十分に乾燥させて下さい。特に、冬場は下地が凍結している場合があり、そのまま施工すると接着不良を起こす恐れがありますので、施工前には凍結がないか確認してください。 a)石膏ボード 石膏ボードのジョイント部は適切な処理を行わないと、塗装後にクラック発生の原因となります。 1. 石膏ボードのジョイント部は所定のピッチで、ネジまたは釘で胴縁にしっかりと固定して下さい。 2. ジョイント部には図1.のように必ず4~6㎜の大きめのテーパーを取って下さい。図2.のようなテーパーのないジョイントは避けて下さい。 3. テーパーを取るとジョイント部に石膏面が露出します。石膏はパテとの接着性が非常に弱く、クラックの原因となります。石膏とパテとの接着性を高める為に、効果のあるシーラーを筆(もしくは刷毛)で塗って下さい。 4. ジョイント部のパテは無機系の物を使用して下さい。樹脂系のパテは、塗膜の隠ぺい不足やクラック発生の原因となる場合がありますので、使用しないで下さい。 ※ パテの材質によってはしっくのんの塗膜にパテのアクが浮き出る場合があります。 懸念される場合は、アク止め処理を行って下さい。 ※ 推奨パテ:宇部吉野石膏㈱製「タイガージョイントセメント ペーストタイプ」 5. パテは目地幅より広めに塗って下さい。 6. パテ部にヤセやクラックが発生していないことを確認し、グラインダーやサンドペーパー等で研磨して下さい。その際、図3.のように僅かにパテ厚を残して下さい。図4.のように研磨しすぎると、しっくのんを塗装した際、塗装ムラの原因となる場合があります。 b)コンクリート及びモルタル よく乾燥していることを確認して下さい。 エフロ、レイタンス、ゴミ、汚れ等はワイヤーブラシ、サンドペーパー等で除去して下さい。打継ぎの段差、目違い、異物の突起、セメントかす等はサンダーで平滑にして下さい。ピンホールやクラックがある場合は補修して下さい。 c)合成樹脂ペイント及びクロス 汚れをしっかりと落として下さい。特に油分、油膜があるとしっくのんの接着性が劣ります。タバコのヤニ等はしっくのんの塗膜に浮き出てくる可能性があります。その場合はアク止め処理を行って下さい。 注意:合成樹脂ペイント及び塩化ビニルクロスにはしっくのんAは塗布できません。(クラックが入りやすくなります)
●「しっくのん」はどのような下地に塗れますか?
石膏ボード、コンクリート、セメントモルタル、合成樹脂ペイント、クロスなどに塗れます。 ※合成樹脂ペイント、クロス下地については、種類や状態によって塗布できないものもあります。 (防水・撥水加工がしてあるものなど) ※クロスを剥がした上に塗装する場合は、必ずクロスの裏紙まで剥がして下さい。 裏紙が残ったまま塗装すると、右記写真のように裏紙の糊が膨れて塗膜を押し上げ、クラック・塗膜剥離を起こします。 *木材・合板はアクが出る上に、塗料の吸込みが大きいため、塗装はお勧めしません。 *じゅらく壁・繊維壁などに塗装する場合は、下地の状態をよく確認して下さい。 剥がれ落ちる場合は、すべて剥がしてから塗装して下さい。 剥がれない場合は、アク止めを塗布後十分乾燥させてから、しっくのんを塗装して下さい。 【シーラー処理について】 しっくのんを塗装する場合、水性シーラーを塗布してからしっくのんを塗装して下さい。(シーラーを使わず直接しっくのんを塗ると、吸込みムラが出たり、塗装ムラになる可能性が高くなりますが、お施主様のご意向などにより、シーラーを使わずに直接塗装するケースもあります。写真参照。) また、主原料が古来の漆喰と同様消石灰であることにより、特性上乾燥収縮が起きやすく(※1)、ジョイント部やコーナー部に軽微なクラックが入る場合がありますのでご了承下さい。 ※1 しっくのん及びしっくのんAは、塗布後乾燥していくにつれて空気中の二酸化炭素と反応し、原料の石灰石に戻っていく性質があります。
●2回塗りで仕上げるとありますが、1回目と2回目の間はどれくらい空ければ良いのですか?
気温、湿度等の気象条件によって異なりますが、石膏ボード等の吸水性の大きい下地の場合は3時間以上、合成樹脂ペイントやビニールクロス等の吸水性の小さい下地の場合は6時間以上間隔を取って下さい。 (重ね塗りをする際は、下地が指触乾燥以上に乾燥していることを確認してから塗装して下さい。)
●塗装をする上での注意点を教えて下さい
しっくのんは、普通の合成樹脂エマルジョンペイントとは異なり、消石灰などの粒子が主原料です。このため、塗膜の重なり部分がムラとなりやすく、塗膜が多孔質になるため吸水性が大きく、塗り重ねる場合は塗りにくくなります。 以下留意点として、 1.塗り伸ばし ローラーに塗料を十分含ませて塗り伸ばしますが、力を入れて搾り出すような伸ばし方は避けて、軽く無理なく伸ばせる程度で止めて下さい。塗りムラの原因となります。 2.同一面の塗装 区画された同一面は休まずに塗装して下さい。途切れるとその部分が塗膜厚さのムラになります。 3.水による希釈 基本的に無希釈で使用します。但し、気象条件等で塗りにくい場合には、1~2%の水で希釈してください。 希釈しすぎると下地の隠蔽性が低下したり、色ムラの原因となりますので注意してください。 ※しっくのんは消石灰、炭酸カルシウム、還元澱粉糖化物などの自然素材を原料としており、 下地の状態や塗り方、気象条件、光の当たり具合などによっては、塗膜の重なり部分が筋のように見えたり、ジョイント部にクラックが発生する場合があります。 当社では施工方法の不具合による責任は負いかねますのでご了承下さい。